甲状腺がんは、超音波検査の診断能力向上に伴い、世界的に症例数が増加傾向にある。早期診断と治療によって良好な長期予後が見込めるがん種であることから、診断精度向上を目的としたAIモデルの適用が進む領域のひとつでもある。甲状腺に認められた結節が悪性であるかを高精度に検出するAIモデルが、米ボストンのMass General Cancer Centerのチームにより開発が進む。
米国放射線腫瘍学会(ASTRO)の2022年頭頸部がんシンポジウムが2月26日まで開催され、同研究の最新成果が発表された。784名、1,346枚の甲状腺結節の超音波検査画像からAIモデルのトレーニングと検証が行われ、悪性腫瘍の98.7%を正確に識別できるといった性能が示された。本研究のAIプラットフォームでは、4つのAI手法(1.定量的特徴を抽出するラジオミクスモデル、2.画像内データの空間的関係を評価する位相データ解析、3.深層学習モデル、4.機械学習モデル)を組み合わせることで、個々の手法単独の識別精度を上回ることができた。
発表者であるAnnie Chan医師によると「異なるAI手法の統合により、ノイズを最小限に抑えながら、より多くの情報を取得することができた。このことで、高い精度による予測が可能となっている」と述べる。
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