医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例位置情報利用モバイルゲーム「Pokémon GO」は抑うつを改善するか?

位置情報利用モバイルゲーム「Pokémon GO」は抑うつを改善するか?

ゲームが健康に与える影響は、近年の「デジタル治療」の普及とともに注目を集めている。位置情報を利用したモバイルゲームの代表格「Pokémon GO」が軽度の抑うつを改善する可能性を示した、とする研究がJournal of Management Information Systemsに掲載されている。

2022年4月に発表された本研究では、Pokémon GO が2016年に英語圏12か国166地域で時期をずらして段階的にリリースされたことを利用し、アプリリリース後のGoogle Trendsデータから「Google Misery Index」と呼ばれる「陰惨な単語検索の指数」を地域毎に解析した。抑うつ状態にある患者がネガティブな単語(不幸・疲れた・悲しい・寂しい・絶望・暗い・泣く・ブルー、など)を検索する傾向にあることは、各種先行研究で示されている。解析の結果、これらのネガティブな検索傾向が、Pokémon GOがリリースされた地域ではその後6週間ほど有意に減少していたという。因果関係の証明に限界はあるものの、著者らは本研究の結果をもって「位置情報利用モバイルゲームが抑うつを改善する可能性」を主張する。

この現象が観察された仮説として、著者らは、Pokémon GOをはじめとする位置情報利用モバイルゲームによる「屋外での身体活動」「他ユーザーと対面する社会活動」「自然との触れ合い」が精神衛生へ好影響を与えた可能性を挙げている。ゲーミフィケーションによる行動および意識変容が健康にもたらす影響は、研究トレンドの1つとして今後も検証が進むと考えられる。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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