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腸内細菌叢から「非アルコール性脂肪性肝疾患発症」を予測

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコール摂取を原因とせず、肝細胞へ脂肪細胞が蓄積する慢性肝疾患である。世界人口の最大25%が罹患しているとの試算もあり、発見されないまま肝障害・肝がん・肝不全に至るケースもあることから、先進国で最も一般的な肝疾患の1つとして警戒されている。ドイツの研究機関Leibniz-HKIのチームは「腸内細菌叢からNAFLD発症を予測する機械学習モデル」を開発している。

Science Translational Medicineから公表された同チームの研究では、追跡開始時点でNAFLDではなかった被験者を4年後に再検査し、NAFLDを発症していた90名と発症していない90名とを比較・検証している。4年前と直近の便および血清サンプルから、メタゲノム・メタボローム解析を行い、そこから微生物学的な14種の特徴量を統合した機械学習モデルを構築した。同モデルは、4年後のNAFLD発症をAUROC 0.72-0.80といった分類性能を示し、従来の血清・生化学的パラメーターからNAFLD発症を予測するモデルのAUROC 0.58-0.60と比較し、有意に優れた予測力を達成している。

研究グループを率いるGianni Panagiotou氏は「ヒトの腸内細菌叢がNAFLD発症に関与していることが証明されつつあることに基づき、我々は健常な人の腸内細菌叢から将来のNAFLD発症を予測できるかを調べたいと考えた。血液から簡便に測定できる情報と腸内細菌叢のデータを組み合わせることで、予測の信頼性が十分に高まった。データの複雑さゆえにモデルの開発に3年以上を有したが、最終的には有効な予測ツールが得られている」と述べた

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