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AIスクリーニングが「サハラ以南の眼科医療アクセス」を改善

糖尿病患者数は世界的に増加の一途であり、中でもアフリカでは「2045年までに143%増加する」との推計があるなど、他地域と比較してもその程度は著しい。医療リソースの乏しい地域では、糖尿病による失明を防ぐ有効なスクリーニングプログラムの実施が容易ではない。眼科ケアの非営利団体「Orbis International」は、ルワンダにおける「AIサポートの糖尿病性網膜症スクリーニングサービス」の実証研究成果を公表した。

Ophthalmology Scienceに掲載された同研究では、OrbisのAIツール「Cybersight」を使用し、検診で撮影された網膜画像から糖尿病性網膜症を検出することで、医療機関への受診勧奨における遵守率向上につながるかを検証した。2021年にルワンダの首都キガリ周辺4つの糖尿病クリニックで実施された同プロジェクトでは、「AIスクリーニングで即時に結果がフィードバックされた患者群」と「人によるスクリーニングを経て3-5日後にフィードバックを受けた患者群」とで推奨された専門診察を30日以内に受けるかを示す「遵守率」を追跡・比較した。結果、紹介患者の遵守率は、AIスクリーニング群で51.5%(70/139例)、対照群で39.6%(55/139例)と、AIスクリーニング群が有意に高いことが示されている。

研究グループではこの結果に対し、AIツールによる即時フィードバックの利点を考察している。まず、フィードバックフローの改善により、ケアチームによる「フォローアップの重要性を患者教育する機会」が検査後すぐに得られること。また、紹介患者はその日のうちに眼科医専門医の予約に進む機会を得るため、改めて来院予約する手間が省けること。さらに、網膜画像を含むレポートを即時に受け取ることは、自身の状態を視覚的に印象付けられ、無症状の患者にとって受診勧奨を受け入れるきっかけとなり得ること、などを挙げている。本研究は、医療アクセスに関して最も脆弱と言えるサハラ以南の環境においても、AIサポートの眼科スクリーニングが有効となる可能性を示している。

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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