COVID-19を契機に、抗原検査用「ラテラルフローデバイス(LFD: lateral flow device)」は家庭用の簡易検査キットとして身近になった。妊娠検査でも普及しているLFD検査の課題として、浮かび上がる「かすかな線」を陽性と判断するか否か、という問題がある。英バーミンガム大学、ダラム大学、オックスフォード大学などの研究チームは、「AIアプリがCOVID-19の抗原LFD検査結果の読み取り精度を向上させるか」を検証している。
Cell Reports Medicineに掲載された同研究では、COVID-19の抗原LFD検査結果を撮影した計10万枚以上の画像を対象とし、陽性・陰性を判定するAIアプリ「MagnifEye」の性能検証を行った。その結果、同アプリは、UK Health Security Agency(英国健康安全保障局)が支援する検査センターでの「人間による読み取り」と比較して、感度を92.08%から97.6%に、特異度を99.85%から99.99%に向上させることが示された。
著者でバーミンガム大学のAndrew Beggs教授は「この研究では、かすかな線に対する”当てずっぽう”を機械学習によって排除できるかを調べた。アプリによって検査の感度が向上し、偽陰性の数が減ることは歓迎できる。検査結果の不確実性を低減し、視覚の不自由な人々もサポートできるよう、この種の技術が多くのアプリで利用されることを期待する」と語った。
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