冠動脈造影による狭窄評価の際、比較的軽度な狭窄、あるいは複数部位の狭窄においては、胸痛症状の原因となる責任部位を判断しにくいケースがある。実際の血流低下を知るには、ワイヤーセンサーを用いて狭窄部位の前後で血管内圧を侵襲的に測定し、「冠血流予備量比(FFR: fractional flow reserve)」というリスク指標を算出する必要がある。
米シダーズ・サイナイメディカルセンターの研究チームは「CTから冠動脈の血流低下を予測するAIツール」を開発し、非侵襲的な検査手法の確立を試みている。Circulation: Cardiovascular Imagingに掲載された同研究では、CT検査に機械学習手法を適用し、冠動脈内に蓄積した「プラーク」の定量的解析からFFRの低下を予測するAIツールを構築した。その結果、同ツールから算出されるスコアは、侵襲的なFFR測定と同等のリスク評価性能を示すことができたとする。
研究の責任者でシダーズ・サイナイのDamini Dey教授は「CTにおけるプラークと狭窄のデータをAIで統合することにより、高精度にFFRの低下を予測できれば、狭窄がもたらす機能的意義を認識した上で患者を正しくリスク層別化できるようになる」と語っている。
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