COVID-19患者の予後を予測するAIモデルが様々な形で発表されてきたが、その性能はパンデミックの状況変化に対して更新を繰り返す必要がある。ニューヨーク州最大の医療グループであるノースウェルヘルス傘下のファインスタイン研究所のチームは、自己監視と自動更新により予測性能を維持するAIツールを開発した。
Nature Communicationsに掲載された同研究では、ノースウェルへルスグループの13病院における延べ34,912件のCOVID-19患者のカルテデータから、5種のデータ(年齢・血清尿素窒素・乳酸・血清アルブミン・赤血球分布幅)のみを使用し、28日生存率を予測する機械学習モデルを構築した。同モデルでは、2年以上のデータ観察期間に、4度の流行波と3度の主要なウイルス変異(アルファ・デルタ・オミクロン)が発生している。モデルは経時的に低下していく予測性能を自己監視する機能を備え、integrated calibration index(ICI)というキャリブレーション指標が一定の値を超えるとモデルの更新が行われる。その結果、更新の行われない静的なモデルと比較し、長期的にモデルの性能を保つことができたとする。
著者でファインスタイン研究所のTheo Zanos博士は「COVID-19は現代史における最もダイナミックに変化する疾患の1つで、患者ケアの情報は常に進化してきた。我々はその発展を考慮した意思決定支援ツールの開発を試みた」と語っている。
関連記事: