医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例自己監視と自動更新により「性能を維持する予後予測AI」

自己監視と自動更新により「性能を維持する予後予測AI」

COVID-19患者の予後を予測するAIモデルが様々な形で発表されてきたが、その性能はパンデミックの状況変化に対して更新を繰り返す必要がある。ニューヨーク州最大の医療グループであるノースウェルヘルス傘下のファインスタイン研究所のチームは、自己監視と自動更新により予測性能を維持するAIツールを開発した。

Nature Communicationsに掲載された同研究では、ノースウェルへルスグループの13病院における延べ34,912件のCOVID-19患者のカルテデータから、5種のデータ(年齢・血清尿素窒素・乳酸・血清アルブミン・赤血球分布幅)のみを使用し、28日生存率を予測する機械学習モデルを構築した。同モデルでは、2年以上のデータ観察期間に、4度の流行波と3度の主要なウイルス変異(アルファ・デルタ・オミクロン)が発生している。モデルは経時的に低下していく予測性能を自己監視する機能を備え、integrated calibration index(ICI)というキャリブレーション指標が一定の値を超えるとモデルの更新が行われる。その結果、更新の行われない静的なモデルと比較し、長期的にモデルの性能を保つことができたとする。

著者でファインスタイン研究所のTheo Zanos博士は「COVID-19は現代史における最もダイナミックに変化する疾患の1つで、患者ケアの情報は常に進化してきた。我々はその発展を考慮した意思決定支援ツールの開発を試みた」と語っている

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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