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COVID-19の影響が個人間で異なる理由を説明するAI研究

新型コロナウイルス感染後、数週間あるいは数ヶ月以上にわたって症状が続く「Long COVID」が一定割合にみられている。英サリー大学の研究チームは、「COVID-19罹患の影響が時間とともに変化し、第1波と第2波で感染者の代謝異常が異なっていること」をAI手法によって明らかにし、感染の影響が個人で異なる理由を説明しようとしている。

Metabolitesに掲載された同研究では、164名の被験者(COVID-19罹患者123名、PCR陰性41名)の血液サンプルを、第1波と第2波にわたって機械学習手法で解析した。その結果、両波での陽性者診断に頑健な予測力を示した6つの代謝物として、TG(22:1_32:5)、TG(18:0_36:3)、Glu、GLCA、Asp、Met-SOを特定した。多くの患者では、COVID-19からの回復に伴って代謝物が正常値に戻ることが観察できたが、一部の患者では感染後数ヶ月にわたって代謝異常が続き、かつ感染の第1波と第2波でそのタイプが異なることを明らかにした。チームは「代謝異常がパンデミックの経過とともに部分的に変化し、変異体、臨床症状、治療方針の変化を反映していることを初めて示した」としている。

研究責任者であるサリー大学のMelanie Bailey教授は「我々の知る限り本研究は、感染の波ごとに患者の代謝に異なる影響を与えていることを初めて実証したものだ。COVID-19は変異体に関連した症状があることが知られており、血中代謝物の変化と相関するのは理にかなう。このことを念頭に私たちはAIを導入して、特徴的なバイオマーカーを特定している。本研究は、現在の治療法の限界を理解し、より良い治療法を構築するのに役立つものとなる」と語った

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1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

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防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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