欧州では医療データに関する規制が厳しく、医学研究に向けたデータ共有でさえもその手続きは複雑で、時に不可能なケースもある。フィンランド・ユヴァスキュラ大学デジタルヘルスインテリジェンス研究所の研究者らは、合成X線画像を生成する人工ニューラルネットワークを開発し、画像の信憑性までを評価した研究成果を明らかにした。
Scientific Reportsに掲載された本研究によると、チームは実際の変形性関節症患者のX線画像データセットから、「データ保護規制の対象とはならないディープフェイク画像」を作成した。次に、医療画像の専門家に対して「本物の画像と合成画像を識別させる検証」を行っているが、結果的にこの識別は不可能であったとする。また、実画像と合成画像を混ぜることによって、変形性関節症の分類AIの精度向上も達成している。
研究者らは「特に患者の実データが限定される疾病において、治療法開発などの研究開発に活用できる可能性」を強調しており、研究コミュニティおよび教育機関間だけでなく、対企業コラボレーションの促進に資する点も指摘する。
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