蚊が媒介する感染症は数多く存在し、特にマラリアは代表的な疾患として知られる。発熱を中心としたその症状は、最貧国などで疾病負荷が顕在化しており、適切な処置ができなければ死亡に至る。熱帯から帯状に広がるマラリア流行地域(いわゆるマラリアベルト)に含まれるインドでも、媒介する蚊に対しての防疫対策が重要課題となってきた。
疾病を媒介する蚊の疫学的調査はそのほとんどが未だに手作業で行われており、専門人材不足も相まって、タイムリーな対策活動を困難にしている。インド発のテクノロジー企業「TalkITNow」は蚊の害を制御するスマート蚊取り「Moskeet」を開発する。同製品は、蚊取りに取り付けられたセンサーから、蚊の「翅の振動数」を識別し、AI/機械学習手法によって自律的に蚊の種類を特定することを可能にしている。
Moskeetはその技術によって、蚊の数のカウント、オスメスの識別、代表的な10種の蚊の識別を行い、手作業と比較して「20倍速く、3倍正確に、15%のコストでデータ収集できる」と、TalkITNowはその性能を謳っている。インドの複数都市での試験運用に成功しているMoskeetは、India Health Fund(インド保健基金)との協力で社会実装計画が進められている。
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