Moskeet – 感染症と闘うAIスマート蚊取り

蚊が媒介する感染症は数多く存在し、特にマラリアは代表的な疾患として知られる。発熱を中心としたその症状は、最貧国などで疾病負荷が顕在化しており、適切な処置ができなければ死亡に至る。熱帯から帯状に広がるマラリア流行地域(いわゆるマラリアベルト)に含まれるインドでも、媒介する蚊に対しての防疫対策が重要課題となってきた。

疾病を媒介する蚊の疫学的調査はそのほとんどが未だに手作業で行われており、専門人材不足も相まって、タイムリーな対策活動を困難にしている。インド発のテクノロジー企業「TalkITNow」は蚊の害を制御するスマート蚊取り「Moskeet」を開発する。同製品は、蚊取りに取り付けられたセンサーから、蚊の「翅の振動数」を識別し、AI/機械学習手法によって自律的に蚊の種類を特定することを可能にしている。

Moskeetはその技術によって、蚊の数のカウント、オスメスの識別、代表的な10種の蚊の識別を行い、手作業と比較して「20倍速く、3倍正確に、15%のコストでデータ収集できる」と、TalkITNowはその性能を謳っている。インドの複数都市での試験運用に成功しているMoskeetは、India Health Fund(インド保健基金)との協力で社会実装計画が進められている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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