米マサチューセッツ工科大学(MIT)やマサチューセッツ総合病院(MGH)の研究者らは、喫煙歴の有無に関わらず、6年以内に肺がんを発症するリスクを予測するディープラーニングツールを開発した。研究成果はJournal of Clinical Oncologyからこのほど公開された。
研究チームは、米国における低線量CT(LDCT)を用いた肺がんスクリーニングが、「喫煙者や喫煙歴のある人々のみ」を対象として推奨していることを問題視し、一部に高リスク者を内包する非喫煙者群を含めた広範なスクリーニング手段が必要であることを指摘している。ここでは、LDCTスキャンを解析し、喫煙歴の有無に関わらず肺がんリスクを予測するAIツール「Sybil」を開発した。ツールは、National Lung Screening Trial(NLST)の参加者において、1年以内発症についてAUC 0.92、MGHデータセットでは0.86、台湾のデータセットで0.94を示した。また、6年以内発症という比較的長期の予測においても、それぞれAUC 0.75、0.81、0.80と、潜在的な臨床的有効性を示している。
Sybilは、標準的な放射線科読影ステーションのバックグラウンドでリアルタイムに実行できるよう設計され、ポイントオブケア臨床意思決定支援を可能とする。また本ツールはLDCT単独で機能し、他の臨床データや放射線科医によるアノテーションに依存しない点も大きな特徴となる。
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