世界中で1000万人以上が罹患する神経変性疾患であるパーキンソン病には、今日現在で根本的で明確な治療方法は得られていない。一方で、早期の疾患検出によって十分なコントロールが可能であるため、簡便で低コストな新しいスクリーニング手法が求められている。
リトアニアのカウナス工科大学(KTU)の研究者Rytis Maskeliūnasは、リトアニア保健科学大学(LSMU)の同僚とともに、音声データを用いた「パーキンソン病における初期症状の特定」を試みている。KTUが23日公表したところによると、防音ブースの中で健常者とパーキンソン病患者の音声をマイクで録音し、AIアルゴリズムに「音声信号から患者識別を行うこと」を学習させたという。以前、同チームが提唱したアルゴリズムよりも高い精度を示しており、研究者らは「このアルゴリズムが高度なハードウェアを必要とせず、将来的にはモバイルアプリに移行できる可能性が十分にあること」を強調している。
LSMU医学部耳鼻咽喉科のVirgilijus Ulozas教授によると、パーキンソン病初期段階の患者は、単調で表現力が乏しく、遅く、断片的でもある静かな話し方をするようになるが、初期に人間の耳でこのような疾患特性を捉えるのは非常に困難だという。AIアプローチがパーキンソン病スクリーニングを革新する可能性が少しずつ高まっている。
関連記事: