医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究音声に基づくパーキンソン病スクリーニング

音声に基づくパーキンソン病スクリーニング

世界中で1000万人以上が罹患する神経変性疾患であるパーキンソン病には、今日現在で根本的で明確な治療方法は得られていない。一方で、早期の疾患検出によって十分なコントロールが可能であるため、簡便で低コストな新しいスクリーニング手法が求められている。

リトアニアのカウナス工科大学(KTU)の研究者Rytis Maskeliūnasは、リトアニア保健科学大学(LSMU)の同僚とともに、音声データを用いた「パーキンソン病における初期症状の特定」を試みている。KTUが23日公表したところによると、防音ブースの中で健常者とパーキンソン病患者の音声をマイクで録音し、AIアルゴリズムに「音声信号から患者識別を行うこと」を学習させたという。以前、同チームが提唱したアルゴリズムよりも高い精度を示しており、研究者らは「このアルゴリズムが高度なハードウェアを必要とせず、将来的にはモバイルアプリに移行できる可能性が十分にあること」を強調している。

LSMU医学部耳鼻咽喉科のVirgilijus Ulozas教授によると、パーキンソン病初期段階の患者は、単調で表現力が乏しく、遅く、断片的でもある静かな話し方をするようになるが、初期に人間の耳でこのような疾患特性を捉えるのは非常に困難だという。AIアプローチがパーキンソン病スクリーニングを革新する可能性が少しずつ高まっている。

関連記事:

  1. 音声と表情からパーキンソン病を早期発見
  2. 非接触呼吸モニタリングでパーキンソン病を検出
  3. PDMonitor – パーキンソン病の遠隔モニタリングシステム
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事