人獣共通感染症のサル痘(WHO推奨でmpox[エムポックス]に呼称変更)は、病期によって特徴的な皮膚病変を認める。mpoxは2022年に米国を中心としてアウトブレイクし、ヒトからヒトへのコミュニティ感染が問題となった。米スタンフォード大学の研究チームは、皮膚病変の画像からmpox感染を検出するAI診断アプリ「PoxApp」を無償公開している。
PoxAppの基礎技術は、Nature Medicineに発表されている。同研究では、mpoxによる皮膚病変を識別する画像ベースの深層畳み込みニューラルネットワーク「MPXV-CNN」を、13万枚以上の皮膚疾患画像データセットから開発した。構築された最終モデルでは感度0.91、特異度0.898、AUC 0.966を達成し、肌の色や身体部位の違いでも頑健な識別性能を示した。
MPXV-CNNのアルゴリズムを利用した無償ウェブアプリPoxAppは、ユーザーがスマートフォンで皮膚病変の写真を撮り、症状の有無や、感染者との密接な接触の有無といった質問に答えると、5分以内にmpoxのリスクスコアおよび必要な場合に受診勧奨を受け取ることができる。開発責任者のAlexander Thieme氏は「PoxAppを利用することで、迅速、簡易かつ匿名でmpoxの初期評価が得られる。このアプリは医療アクセスが悪い地域にも届き、受診を促すことができる」と語っている。
参照論文:
A deep-learning algorithm to classify skin lesions from mpox virus infection
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