IEEE Journal of Biomedical and Health Informaticsにこのほど掲載された論文では、「現実環境から咳嗽を識別するAI」が紹介されている。COVID-19の拡大を契機に、咳嗽の検出システムは研究が進んだが、多くはクリーンなデータから構築されており、環境ノイズを多く含むデータセットから構築された例は珍しい。
研究論文では、Out-of-Distribution(OOD)データと呼ばれる「モデルによって学習されない音」を検出するモジュールを組み合わせることで、頑健な咳嗽検出方法を提案している。システムの検証で興味深い示唆としては「低いサンプリングレートでパフォーマンス向上を実現するには、OODデータの割合が高いことが必要」な点で、実世界で有効に機能する咳嗽検出システムを構築するには、純粋な咳嗽音以外のノイズに価値があるとしている。
チームはこのシステムを、ウェアラブルなヘルスモニタリングデバイスに組み込むことを目指している。喘息患者の咳嗽を捉え、重積発作に至るリスクを検出するなどの活用方法が期待される。
参照論文:
Robust Cough Detection with Out-of-Distribution Detection
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