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ChatGPT – 米国消化器病学会の試験には合格できず

ChatGPTが各種専門医試験に合格したとする論文が相次いで発表される一方、米ファインスタイン医学研究所の研究チームは、「米国消化器病学会(ACG)の試験でChatGPTが合格点に到達できなかった」とする研究結果を発表している。

American Journal of Gastroenterologyに短報として発表された同研究では、米国消化器病学会の2021年および2022年の自己評価型テスト(画像問題を除く各455問の多肢選択式問題)に対して、GPT-3.5とGPT-4の各バージョンで試験を受けさせた。合格基準70%に対し、GPT-3.5で65.1%、GPT-4で62.4%という正答率で、それぞれ不合格と判定されている。

研究チームでは、不合格になった理由として、ChatGPTが有料購読の医学雑誌にアクセスできていないこと、そして時代遅れであったり非科学的な情報源に基づくことを挙げ、同ツールがトピックや問題に対する本質的理解を持ち合わせていないことを説明する。著者のArvind Trindade医師は「医学教育に関してはこれらAIツールが画期的なものとなるか、研究が不足している。我々の調査結果では、ChatGPTは消化器内科の医学教育に現時点では使うべきではなく、医療現場への導入は道半ばであることを示している」と語った

参照論文:

ChatGPT Fails the Multiple-Choice American College of Gastroenterology Self-Assessment Test

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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