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Nature論文 – 医師の臨床メモから再入院を予測するAI

ニューヨーク大学グロスマン校の研究者が率いる研究チームは、医師の臨床メモを分析し、患者の死亡リスクや入院期間、その他治療に必要となる重要な要素を正確に推定することができるAIツールを開発した。このツールは現在、ニューヨーク大学ランゴーンヘルスの病院で、退院した患者が1ヶ月以内に再入院する確率を予測するために実臨床利用されている。

Natureから7日公開された研究論文によると、研究チームは「NYUTron」と呼ばれる大規模言語モデル(LLM)を設計し、患者の健康状態について有用な評価を行うことができるよう、336,000人の患者に関する電子カルテ内テキストを使って訓練を行った。その結果、このモデルは再入院患者の80%を予測することができ、医療データの再フォーマットを必要とする標準的な非LLMコンピュータモデルと比較して、およそ5%の精度改善が得られたという。

NYU Center for Data Scienceの博士課程学生で、研究をリードしたLavender Jiang氏は「NYUTronのようなプログラムは、再入院やその他の医学的懸念につながる要因について、医療提供者にリアルタイムで警告することができる。これはより迅速な対処や、望ましくない結果の回避を可能とするものだ」とした上で、ワークフローをスピードアップし、医師が患者と対話する時間を増やすことができる点にも言及している。

参照論文:

Health system-scale language models are all-purpose prediction engines

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