Googleの医療AIチャットボット – 臨床環境で試験運用

医療情報に関する質問に回答するために設計された、GoogleのAIツール「Med-PaLM 2」が、本年4月から米メイヨークリニックなどにおける臨床環境での試験運用が行われているという。

これはThe Wall Street Journalが8日報じたもの。PaLM 2は、GoolgeのBardを支える言語モデルであり、Med-PaLM 2は、本年5月のGoogle I/Oで発表されたPaLM 2の亜種として知られる。5月にGoogleが公表した調査結果では、Med-PaLM 2は、市場における他の大規模言語モデルと同様に「精度問題」に未だ悩まされていることが示されていた。実際、GoogleのMed-PaLMとMed-PalM 2が提供した回答は、人間の医師が提供した回答よりも不正確で無関係な情報が多かったとしている。

一方で、推論の証拠を示すこと、コンセンサスに裏付けられた回答を示すこと、誤った理解の兆候を示さないことなど、他のほとんどすべての指標において、Med-PaLM 2は医師と同等水準のパフォーマンスを示しており、その大きな可能性を明らかにしていた。現在進む臨床検証において、Googleは大規模言語モデルによる医療市場への展開も確かなものにしようとしている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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