Hippocratic AI – 医療向け大規模言語モデルの構築

医療業界特化の大規模言語モデルの構築を目指すHippocratic AIはこのほど、シードラウンドで5000万ドル(約68.5億円)を調達したことを明らかにした。Hippocratic AIはシリアルアントレプレナーのMunjal Shah氏が今年立ち上げたもの。OpenAIの躍進を受け、大規模言語モデルへの大きな注目が後押しし、シリコンバレーの投資家による稀有な大規模ラウンドに結びついた。

Hippocratic AIは医療特化の大規模言語モデルにより、ベッドサイドコミュニケーションを含めた特定のユースケースでの有効性確保を狙っており、特徴的なのは医療系スタートアップでありながら「診断領域」を目指さないこととなる。同社は「診断以外の作業に焦点を当てることで、複数の分野において効果的に規制をクリアすることができ、広く臨床利用されること」を狙う。

本ラウンドはGeneral CatalystとAndreessen Horowitz(A16z)が共同で主導しており、A16zのJulie Yoo氏は「Hippocratic AIは、彼らが構築するシステムの安全性やコンプライアンス、プライバシーの側面について非常に厳格な態度を持っており、だからこそより多くの資金を必要としている。この事実は、我々に大きな安心感を与えるものだ」としている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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