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スマートウォッチでパーキンソン病リスクを最大7年前に特定

パーキンソン病の多くは、震戦や動作の緩慢といった運動症状に基づき診断される。一方、これらの主症状が出現する前の前駆期に早期診断することで、疾病管理と予後の改善が期待されている。英カーディフ大学の研究チームは、スマートウォッチの加速度計を用いたウェアラブル技術により、臨床診断の最大7年前にパーキンソン病の発症を予測できる可能性を明らかにした。

Nature Medicineに掲載された同研究では、加速度計データを学習に用いた機械学習モデルについて、前駆期パーキンソン病の予測性能を、UK Biobankに登録された一般集団で検証している。結果として、この加速度計に基づく予測モデルは、データバンクに登録された他の予測因子(遺伝・ライフスタイル・血液生化学検査・前駆症状)を上回る前駆期パーキンソン病の発症予測能力を示し、最大で臨床診断の7年前に識別可能であるとしている。

著者でカーディフ大学認知症研究所のCynthia Sandor氏は、「臨床診断前における加速度の低下はパーキンソン病特有の現象であり、我々が調査した他の疾患では観察されなかった。何百万人もの人々が毎日使用しているスマートデバイスを通じて加速度データを収集することで、前例のない規模でパーキンソン病リスクを持つ人々を特定することが可能になる」と述べた

参照論文:

Wearable movement-tracking data identify Parkinson’s disease years before clinical diagnosis

  1. PDMonitor – 専門家評価に匹敵するパーキンソン病管理用ウェアラブルデバイス
  2. AIとメタボロミクスによるパーキンソン病の発症予測
  3. 音声に基づくパーキンソン病スクリーニング
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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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