仮想現実(VR)および拡張現実(AR)は、機器の小型化と可搬性向上、感覚的な体験の質的向上により、医療での応用も急速に広がっている。サウジアラビア・タイフ大学の研究グループは、同国内の医師を対象としたAR/VR技術への認識状況を明らかにした。
オープンアクセスジャーナルCureusに公開された同研究では、サウジアラビア西部地域で活動する医師220名(女性45.9%、男性54.1%)を対象に、VR/AR技術に関するアンケート調査を実施している。53.2%の回答者が25-30歳で、キャリア5年未満の医師が多数であったが、32.3%が「AR/VR技術に慣れ親しんでいる」と回答していた。「医療におけるこれらの技術活用は有用だ」との回答は64.5%で、特に優れていると認識する分野は、視覚化(42.7%)、診断(37.3%)、治療(35.0%)が挙げられた。また、41.4%が将来的に医学的判断の際にVR/AR技術を常用する意向を示していた。
この研究成果は、スイス、英国、ドイツなど他の国々の先行研究と一貫しており、医療者の中で技術への認知度が低い場合でも、多くがVR/AR技術の医療応用を肯定し、潜在的にポジティブな影響を与える点に同意している。一方で、技術の費用対効果については意見が分かれており、研究チームは、この技術の認知度と使用率を向上させるためには、いくつかの障壁を解決する必要がある、と指摘している。
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