学術論文の出版における男女差は、研究助成金や奨学金、研究室設立、そして臨床面の男女不平等に関わっている可能性がある。インドの共同研究チームは、先端医療分野における男女格差を検証するため、「AIと甲状腺疾患」の学術論文を分析し、筆頭著者の性別傾向を調査した。
オープンアクセスジャーナルのCureusに発表された同研究では、PubMedから収集された2003年から2022年までに発表された「AIと甲状腺」に関する論文254報を対象とし、筆頭著者の性別と出身国を分析した。その結果、筆頭著者の43.5%が女性で、最新の2022年では筆頭著者が女性である論文数が最多の43件にのぼっていた。女性の筆頭著者比率が最も高かったのは European Journal of Radiologyの1.33倍で、最も低かったのはFrontiers of Oncologyの0.8倍であった。また出身国別では、女性比率が最も高いのは中国の1.57倍、最も低いのがエジプトの0.5倍、米国はそれに次ぐ0.77倍という低さであった。
近年、医学研究全般における女性の筆頭著者比率が上昇しており、精神医学分野では2008年の40%から2018年には44.8%への上昇が確認されている。研究チームによれば、2027年までに同分野では男性の筆頭著者が約370件、女性の筆頭著者が約330件(約47%)にまで上昇すると予測し、医学分野における男女平等の方向性を示唆している。
参照論文:
Gender Equality Trends of First Authors in Publications of Artificial Intelligence and Thyroid
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