米シカゴ大学とラッシュ大学医療センターの研究者らは、電子カルテデータに基づき「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」に感染しやすい女性を特定するための予測モデルを開発した。研究成果はこのほど、BMC Women’s Healthに発表された。
HIVリスクが高い集団を予測するモデルについては、欧米を中心として先行研究が多くある。一方でこれら研究のほとんどが、男性と性交渉のある男性(MSM)を調査対象としたものだった。したがって、研究結果の一般化可能性は「男性あるいはMSM」にのみに限られていることが主要な限界の1つだった。チームの研究論文によると、大規模なHIVスクリーニングプログラムを展開するシカゴ大学病院とラッシュ大学医療センターの両院において、HIV感染女性と非感染女性を対象とした電子カルテ解析により、リスク予測モデルの導出を行っている。
解析の結果、最終的なモデルには、年齢層や人種、民族、妊娠歴、C型肝炎の有無、薬物使用歴、性感染症診断歴がリスク因子として含まれ、モデルの予測性能を示すAUCは0.74であった。研究者らは「このモデルによって、新たにHIVと診断されるリスクの高い人を識別できる可能性」を指摘しており、HIVリスクが最も高く、曝露前予防薬(PrEP)といった予防的介入から恩恵を受ける可能性のある女性を検出する臨床ワークフロー構築の有用性を強調している。
参照論文:
Development of a predictive model for identifying women vulnerable to HIV in Chicago
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