米ノースカロライナ大学(UNC)外科やUNCラインバーガー総合がんセンターなどの研究チームは、乳がん手術中に「がん組織が体内から完全に除去されたかどうか」を予測できるAIモデルを構築した。研究成果はAnnals of Surgical Oncologyに掲載された。
外科医は病変部を切除した後、乳房内のがん周囲の健康な組織を少量採取する。この標本はマンモグラフィ装置で撮影され、異常部位が取り除かれていることをチームで確認する。その後、さらなる分析のために病理検査に送ることになる。病理医は、がん細胞が検体の外縁(病理学的マージン)まで広がっているかどうかを判断するが、切除した組織の端にがん細胞がある場合、乳房内にまだがん細胞が残っている可能性があるということになり、追加の手術が必要になることもある。しかし、検体マンモグラフィは手術室ですぐに行うことができるため、ここで高精度な判断がつくことは手術の迅速性とリソースの効率利用の観点から価値が大きい。
研究者らは、検体マンモグラフィ画像から「断端の陽性と陰性」を識別するAIモデルを構築した。数百枚の画像と病理医からの検体報告書から学習したモデルは、陽性断端の識別において人間と同等か、わずかに上回ることを示している。著者らは、このAIツールを用いることで、手術で摘出された腫瘍をリアルタイムでより正確に分析することができ、手術中にがん細胞がすべて摘出される可能性が高まるとして、さらなる研究と臨床利用の可能性を模索している。
参照論文:
Analysis of Specimen Mammography with Artificial Intelligence to Predict Margin Status
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