「眼の老化」を測定

米Stanford Medicineの研究者らは、眼液研究のために開発した技術を用い、「眼の老化」を測定する新手法を提案している。

このほどCell誌から公開された研究論文によると、この新技術は、眼液中の約6,000個のタンパク質を調べ、そのうちの26個を使って老化を高精度に予測できるというもの。チームが有するTEMPO(tracing expression of multiple protein origins)技術では、RNA(タンパク質を作り出す)が存在する細胞の種類までタンパク質を追跡することで、疾患を引き起こすタンパク質の細胞起源を理解することを可能にする。TEMPOは眼球の老化計測だけでなく、肝胆汁や関節液など、他臓器液への応用も期待される。

研究者らが「まるで生きた細胞を手に取り、虫眼鏡で観察しているかのよう」と表現するこの技術は、分子レベルでの深い理解により、個々の眼球状態に基づいた治療薬選定など、精密医療の加速に資する可能性がある。

参照論文:

Liquid-biopsy proteomics combined with AI identifies cellular drivers of eye aging and disease in vivo

関連記事:

  1. 目の老化から腎不全リスクを予測
  2. 「犬の老化」を探る大規模データ収集プログラム
  3. HistoAge – 脳組織の年齢を識別するAI
TOKYO analytica
TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事