スマートフォンを使用したAIによる皮膚がん診断技術が、近年有望視されている。しかし、実際の臨床シナリオの中でどう機能するかについての実用性検証は不足する。オーストリア・ウィーン医科大学の研究チームは、色素沈着性皮膚病変の診断AIについて、実臨床環境で多施設前向き試験を行った。
The Lancet Digital Healthに発表された同研究では、2つのシナリオ(シナリオA: 皮膚がんが疑われる患者群、シナリオB: 多数のほくろがある患者群)の条件下でAIと臨床医の診断精度を比較した。使用デバイスはiPhone8 Plusにアタッチメントレンズを取り付け、MetaOptima Technology社のDermEngineと呼ばれるAIソフトウェアを使用している。本臨床試験のための最新のアルゴリズム(7-class)と既存のアルゴリズム(ICIS)の2種のアルゴリズムが用意された。その結果、7-classアルゴリズムは専門医と同等の診断精度を持ち、経験の浅い医師よりも優れていることが確認された。またISICアルゴリズムは専門医には劣るものの、経験の浅い医師よりも優れていた。
著者のHarald Kittler氏は、「AIアプリケーションは、専門医よりも多くの良性病変を検出・除去しようとする傾向があった。この傾向を頭に入れておけば、AIアプリケーションは使用に耐え得る。しかし無批判に使用してしまうと、あまりにも多くの偽陽性を拾い上げてしまうことに注意が必要だ」と語っている。
参照論文:
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