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公正な臨床AIに必要となる「多職種連携」

このほどnpj Digital Healthから公開されたパースペクティブ論文によると、医療における公平で偏りの無いAIを開発するためには、臨床医だけでなく、業界の多様な専門家の参画が欠かせないことを指摘している。

デューク大学とシンガポール国立大学の研究チームは、AIは幅広い医療応用の可能性が示されている一方、原理上にバイアスの懸念が常にあるため、その応用には限界があることを強調する。年齢や性別、人種などに代表されるサブグループ間で同等の性能を発揮することが期待される「公正なAIモデル」を構築・運用するためには、倫理学者やAIの専門家、各種臨床家など、多様な職種の協力が必要であるとしている。著者らが意図するのは完全な平等ではなく、公平性、つまり人種や性別などの要素を認識し、より脆弱なグループが必要なケアを受けられるようにAIアルゴリズムやその適用を調整することに焦点を当てることが、臨床AIにとってより合理的なアプローチである可能性に言及する。

チームは、AIソフトウェア市場をナビゲートし、責任あるAI導入のためのベストプラクティスを確立する組織として「Health AI Partnership」を設立している。医療AIのユースケースを徹底的に理解し、関連するリスクを考慮しようとする。ここでも、業界標準と分野横断的な協力の必要性を強調している。

参照論文:

A translational perspective towards clinical AI fairness

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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