Nature Medicine誌にこのほど掲載された研究において、中国の研究者らは、眼底画像を用いて糖尿病網膜症の進行を予測する「DeepDR Plus」と名付けられたディープラーニングシステムを開発した。このシステムは、5年以内の糖尿病網膜症の進行リスクと進行までの時間を予測できるとしており、個々人に合わせたスクリーニングと治療戦略策定への道を開いている。
DeepDR Plusは、上海統合糖尿病予防ケアシステムおよび上海糖尿病予防プログラムに登録された、179,327人の糖尿病患者から得られた717,308枚の眼底画像に基づきトレーニングされている。内部検証では、低解像度の画像を用いたにも関わらず、本モデルは既存のメタデータモデルよりも優れた性能を示していた。また、本モデルは8つの外部データセットにおいて、いずれも頑健な性能を維持し、糖尿病網膜症の進行までの具体的な時間を高精度に予測できることを実証している。
極めて有望な研究成果の一方で、DeepDR Plusのトレーニングが中国人集団で行われたこと、内在的バイアスの可能性、治療レジメンの違いによる性能のばらつき、実際の臨床応用がないことなどから、本研究には一定の限界がある。今後の追加的検証に大きな期待が集まっている。
参照論文:
A deep learning system for predicting time to progression of diabetic retinopathy
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