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Google – 医療面接のためのAIベース診断対話システム

Google ResearchとGoogle DeepMind のAI研究者チームは、医療面接を行うための「AIベース診断対話システム」を開発している。初期の研究成果がこのほど、arXivにプレプリント論文として公開された。特徴となるのは、自動フィードバック機構による「反復的な自己改善プロセス」を有していることとなる。

Articulate Medical Intelligence Explorer(AMIE)は、診断対話に最適化された会話型医療AIである。研究論文によると、様々な医療コンテキストや専門分野に渡ってAMIEの機能を拡張するため、自動フィードバック機構を備えたセルフプレイベースの模擬対話環境を設計した。具体的には、この反復的な自己改善プロセスは、次の2つの自己再生ループで構成される。1. AMIEがコンテキスト内の批判者フィードバックを活用し、AI患者エージェントとの模擬会話での動作を改善する「内側」の自己再生ループ、2. 改善された模擬対話のセットを後続の微調整反復に組み込む「外側」の自己再生ループ。オンラインでの推論の間、AMIEは推論の連鎖戦略を使用し、現在の会話を条件として応答を徐々に洗練させ、各対話ターンにおいて患者に対する正確で根拠のある返答を導き出すことができる。

盲検化試験において、AMIEはプライマリケア医を上回る高評価を確認している。Googleは、AMIEが「純粋に実験的なものであること」を指摘しているが、将来的な臨床利用を見据え、さらなる実環境での検証と性能向上に取り組む。

参照論文(プレプリント):

Towards Conversational Diagnostic AI

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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