進行性/転移性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)単剤治療の効果予測因子として、PD-L1の発現が臨床的に最も使用されているが、予測精度は限定的である。Harvard Medical Schoolの研究チームは、NSCLC患者のHE染色された病理標本から、ICIの有効性を予測するDeep Learning Model(Deep-IO)を開発した。
JAMA Oncologyに掲載された同研究では、ICI単剤療法を受けたNSCLC患者958人から得られた295,581枚のHE染色された病理画像を解析対象とし、ICIの有効性を予測した。検証の結果、Deep-IOによるICIの有効性の識別性能としてのAUCで、内部コホートで0.75、検証コホートで0.66であった。調整されたDeep-IOによるAUCは、内部コホートでは、その他の予測因子(遺伝子変異量、PD-L1、腫瘍浸潤リンパ球)より高く、検証コホートでは腫瘍浸潤リンパ球よりも優れており、かつ、PD-L1と同等であった。
著者らは「病理標本を用いたDeep Learning Modelにより、NSCLCに対してICI治療が有効である可能性の高い患者を効率的に同定できる可能性がある」と考察している。一方で、0.8以上の理想的なAUCには届かなかったため、さらなる改良による精度向上が期待される。
参照論文:
Deep Learning Model for Predicting Immunotherapy Response in Advanced Non−Small Cell Lung Cancer
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