癒着性小腸閉塞は、腸管の癒着によって生じる閉塞性疾患であり、一部症例では腸管の壊死が進行し手術が不可欠となる。CT画像は診断の重要な手段とされるが、壊死の早期識別には限界がある。こうした課題を踏まえ、中国・青島大学の研究チームは、癒着性小腸閉塞における手術適応を予測する機械学習モデルを開発した。
今月発表された研究論文によると、チームは2019年から2022年に収集した188例のCT画像データを用い、トレーニング(n=131)とテスト(n=57)の2つのコホートに分け、臨床指標や血液検査値、CT画像の特徴を収集した。白血球数、閉塞時間、感染徴候(発熱、頻脈、腹膜炎)、およびCT所見(腸管壁の肥厚、腹水、腸間膜脂肪のHigh densityなど)を組み合わせた予測モデルを作成し、手術適応の予測精度を評価した。結果、テストコホートでのAUC(曲線下面積)は0.761(95% CI、 0.628–0.893)を記録し、従来のCT所見や血液検査のみでは識別が難しかった腸管虚血の検出精度を向上させる結果となった。
本研究成果は、癒着性小腸閉塞の手術適応予測の精度向上だけでなく、不要な外科的介入の抑制にも寄与し得る点で意義が大きい。特に、診療リソースの逼迫が課題となる医療現場において、CT画像を活用した客観的な評価手法の導入は、臨床判断の均一化と効率化に貢献すると期待される。
参照論文:
関連記事: