医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例リンパ腫の病理組織学におけるAIの活用 : システマティックレビュー

リンパ腫の病理組織学におけるAIの活用 : システマティックレビュー

リンパ腫は、世界で最も多くみられる血液がんの1つであり、AI技術はリンパ腫の診断、予後予測など多くの分野に応用されている。中国の研究チームは、リンパ腫の診断、予後予測のための病理AI技術に関する系統的レビューを行い、Journal of Medical Internet Researchに結果を公表した。

リンパ腫の診断または予後予測のために、AIモデルの検討を行った文献について、PubMed、Cochrane Library、Web of Scienceが検索され、その結果41件の研究がレビューされた。AIモデルについては、Convolutional neural network(CNN)が最も多く用いられており(30件)、2件でSupport vector machine(SVM)、2件でRandom forestが使用されていた。この内、17件が診断モデル、10件が予後予測モデル、2件が異所性遺伝子発現を検出するモデルであった。すべてのモデルの内部検証では、AUCは0.75〜0.99で、正解率は68.3〜100%であった。外部検証が行われたモデルでは、AUCは0.93〜0.99であった。研究におけるバイアス評価に関しては、評価ツール「PROBAST」が用いられ、すべての研究において高リスクまたは不正確なバイアスのリスクが認められた。最も頻繁に認められたのは、統計解析(37件)と参加者選択(16件)に関するバイアスであった。

AIは、リンパ腫の診断や予後予測の精度を向上させたものの、多くの研究においてバイアス評価のために必要とされる、臨床的または病理学的情報が欠如していることが判明した。筆者らは「リンパ腫の病理組織学におけるAIの臨床応用を目指すためには、元データの包括的な検証やデータセットの多様性、外部検証の使用が重要である」と結論づけている。

参照論文:

Artificial Intelligence in Lymphoma Histopathology: Systematic Review

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Kazuyo NAGASHIMA
Kazuyo NAGASHIMA
長島和世 群馬大学医学部卒(MD)、The University of Manchester(MPH)。WHO/EMROにて公衆衛生対策に従事。2025年度より、アラブ首長国連邦にて、プライマリーケア診療。
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