緑内障は、眼圧の上昇などが原因で視神経が障害され、不可逆的な失明を引き起こすため、患者の生活の質(QoL)を著しく低下させる。一部の患者では症状が進行し、手術が必要となることがあるが、米スタンフォード大学の研究チームは、電子カルテ上の患者の臨床情報(EHR)と 網膜神経線維層の光干渉断層計(OCT)画像を用いて、手術が必要となるリスクが高い患者を予測するAIモデルを開発し、その成果をTranslational vision science and technologyに発表した。
研究チームは、2008年から2023年の間に受診した緑内障患者1,472名を同定し、トレーニングセット(972名、66%)と検証セット(250名、17%)にランダムに割り当てた。TabNetとXGBoostを用いて、EHRまたはOCT画像のいずれかを入力する単一モデル、およびEHRとOCT画像の両方を入力する融合モデルを訓練した。その結果、TabNet融合モデルはテストセットにおいてROC 0.832を達成し、XGBoost融合モデル(ROC 0.747)と比較して、優れたパフォーマンスを示した。 EHRのみのモデルでは、TabNetがROC 0.764、XGBoostがROC0.720を示した。一方、OCT画像のみのモデルでは、TabNetとXGBoostでそれぞれ0.624および0.633を示した。
総合的に見て、TabNetはXGBoostを上回り、さらに複数のデータを統合することでより優れたパフォーマンスを発揮することが示された。著者らは「視野検査など、さらに多くのデータを統合することで予測モデルを強化できる可能性がある」と述べている。
参照論文:
Multimodal Artificial Intelligence Models Predicting Glaucoma Progression Using Electronic Health Records and Retinal Nerve Fiber Layer Scans
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