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緑内障の10秒スクリーニングを目指すAI研究

失明原因で最も一般的な眼疾患「緑内障」において、早期診断は障害の進行を防ぐために重要な役割を果たす。従来の手法として、検眼・眼圧検査・視野検査などを組み合わせて総合的に緑内障はチェックされる。一方、新技術として瞳孔径の光反応から緑内障をスクリーニングする手法が考案されているが、手作業による監視が必要であったり、高い計算コストなどの課題があった。

豪州ロイヤルメルボルン工科大学のリリースによると、同大の研究グループは、日常環境光のもとで市販の視線計測機器(アイトラッカー)を用い、瞳孔径データから緑内障を検出するAIアルゴリズムを開発している。研究成果は学術誌 IEEE Accessに発表された。本研究ではGazepoint社のアイトラッカーGp3を用い、椅子に座った被験者は画面中央のターゲットに120秒間焦点を合わせ、その間に瞳孔径のデータが収集される。機械学習手法による解析の結果、緑内障患者と対照群の間で有意な差を検出できた。

本研究において、瞳孔が解析に必要な定常状態に達するまでに要する時間は10秒間であり、このことから「10秒で可能な緑内障スクリーニング」を謳い文句としている。グループの代表であるDinesh Kumar教授は「本研究の成果は、一般の診療所で日常的に行える、非接触で使いやすい低コストの緑内障スクリーニング検査を実現するものだ。地域のスクリーニングプログラムを促進することで、手遅れになるまで治療を受けていなかった人々に検査を届けられるかもしれない」と述べている。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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