分娩後出血は時に致命的であり、特に発展途上国では妊産婦死亡率の主要な原因の一つとなっているものの、従来の技術では分娩後出血の予測を正確に行うことが困難である。この課題を克服するために、中国の研究チームはSHapley Additive exPlanations分析(SHAP分析)を機械学習モデルに統合し、経膣分娩における分娩後出血のリスク予測モデルを開発した。
BMC Pregnancy and Childbirthに発表された同研究では、2018年から2023年までの間に、中国北東部の3つの三次病院で経膣分娩を行った24,833名を対象とした。患者情報・既往歴・分娩プロセス・新生児所見などの計34項目の特徴量を用いて6つの機械学習モデルが学習され、その中でXGBoostが最も優れたパフォーマンスを示し、訓練データセットに対してAUC0.997と優れた結果を示した。また、SHAP分析の結果、新生児体重が3,500g以上であることや、分娩第二期が100分以上、破水の有無、母体年齢など分娩後出血の予測に重要な15の特徴量が特定された。これら15の特徴量のみをXGBoostに学習させても予測精度は大きな低下なく、外部検証データセットのAUCは0.880であった。
研究チームは、「本モデルは、経膣分娩後の出血リスクの予測に革新をもたらす可能性があるが、分娩後出血に関連する死亡率の低下につながるかどうかについては、大規模データセットを用いた前向き研究が必要である」と述べた。
参照論文:
Integrating SHAP analysis with machine learning to predict postpartum hemorrhage in vaginal births
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