全世界で毎年約7,300万件の人工妊娠中絶が行われており、そのうち安全性を欠く中絶の約97%は開発途上国で実施されている。中絶に至る要因を特定することは、ヘルスプロモーションの観点から重要だが、現時点では機械学習を利用した予測モデルに関する研究は限られている。エチオピアの研究チームは、エチオピアにおける中絶の予測因子を特定することを目的とした機械学習モデルを開発した。
Scientific Reportsに発表された論文によると、研究チームは生殖年齢(15〜49歳)の女性14,931人を対象に、居住地、年齢、夫の年齢、学歴、婚姻状況、職業、経済状況、医療施設へのアクセスなど12の特徴量を用いて7つの学習モデルを検証した。その結果、最も優れた予測精度を達成したモデルはランダムフォレストであり(正解率0.91、AUC0.97)、次いでXGBoostが優れていた(正解率0.87、AUC0.94)。さらに、SHapley Additive exPlanations(SHAP)分析によると、重要な予測因子として若年齢(SHAP値+0.060)、より若い夫(SHAP値+0.050)、18歳未満での初産(SHAP値+0.052)などが特定された。
今回、若年齢が最も重要な予測因子として特定されたが、これはリプロダクティブヘルスに関する知識不足や、家族やパートナーからの支援不足など、若者が直面する特有の問題に起因する可能性がある。研究者らは、「機械学習と公衆衛生の研究を融合させ、リプロダクティブヘルスの向上を目指す」と述べている。
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