経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、冠動脈に中等度から重度の石灰化病変(MSCAC)がある場合、治療の成功率が低下する傾向がある。冠動脈造影(CAG)によって、PCI手技の難易度を評価することは重要であるが、CAGの結果に基づいてPCIの成功率を予測した研究は少数である。中国の研究チームは、機械学習技術を用いて、MSCACを有する患者のCAGの特徴からPCIの結果を予測する研究をJournal of Medical Internet Researchに発表した。
本論文によると、研究チームは2017年から2018年の間にPCIを受けたMSCACを有する患者3,271名と、冠動脈石灰化がないまたは軽度の患者17,998名を対象とした。CAGの特徴に基づいてPCIの成功を予測するために、内部検証コホートにおいて6つの機械学習モデルが検証された。その結果、XGBoostが最も優れたパフォーマンスを示し(AUC0.984、平均適合率0.986、F1スコア0.970、幾何平均 0.979)、最も効果的なモデルとなった。また、SHapley Additive exPlanations分析によると、PCI成功予測に最も寄与するCAGの特徴として、病変の長さ、最小血管内腔径、TIMI分類(Thrombolysis in Myocardial Infarction grade)による血流評価、慢性完全閉塞、対照血管径(病変前後の健康な血管径)、広範囲病変の6つの特徴量が特定された。
研究者たちは、「この機械学習モデルを用いることで、患者のPCI成功率が低いと予測された場合、医師は患者およびその家族に対して、PCIに伴うリスクを事前に説明することができる」と述べている。今後は、畳み込みニューラルネットワークなどの深層学習技術を活用することで、CAGのさらなる多様な特徴を分析できるようになることが期待される。
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