甲状腺結節の超音波検査による診断は、超音波検査技師や放射線科医の技量や主観に左右されることがあるが、AIは誤診や過剰な細針吸引生検を防ぎ、診断から治療開始までの時間を短縮する可能性がある。中国の研究チームは、甲状腺結節の超音波ベースAI診断モデルを体系的に評価することを目的としてシステマティックレビューを実施した。
2025年9月3日にFrontiersに発表された論文によると、研究チームはPubMed、Web of Science、Cochrane Libraryを用いて、甲状腺結節の超音波検査診断におけるAIの応用に関する文献検索を行った。その結果、134,028名の患者、158,161個の甲状腺結節、529,479枚の超音波画像を含む28件の研究が評価対象となった。AIモデルについては、畳み込みニューラルネットワークが17件、人工ニューラルネットワークが2件、ランダムフォレストが3件、混合モデルが6件含まれていた。AI支援診断は、感度0.89、特異度0.84、陽性尤度比5.60、陰性尤度比0.13、診断的オッズ比43.94、AUC0.93と高い診断性能を示した。なかでも、DenseNetに基づくアンサンブルモデルであるEDLC-TN(Ensemble Deep Learning Classification Model for Thyroid Nodules)は、正解率98.51%と他のモデルを大きく上回るパフォーマンスを達成した。
本レビューにより、AI支援による超音波検査を用いた甲状腺結節の診断は、臨床現場での応用可能性が高いことが示された。特に、農村部やプライマリーケアなどリソースが限られた環境における甲状腺がんの早期発見が期待される。研究者らは、「超音波検査におけるリアルタイムのデータ処理は、静的画像の約100倍のデータ量を必要とするため、将来的には3D CNNとTransformerを組み合わせた新たなニューラルネットワークアーキテクチャの開発が求められる」と述べている。
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