新型コロナウイルス感染後、数週間あるいは数ヶ月にわたって何らかの症状が続く「Long COVID(コロナ後遺症)」が顕在化している。症状は長期の疲労感、頭にモヤがかかったような状態(ブレインフォグ)、頭痛、胸痛、など多岐にわたる。ノースカロライナ大学などの研究チームは、米国立衛生研究所(NIH)の助成を受け、AI手法によりこの発症リスクを明らかにしようとする。
The Lancet Digital Healthに掲載された同グループの研究では、新型コロナウイルス感染症検査で陽性となった成人10万人、およびこれに含まれる約600人のLong COVID患者の電子カルテデータから、Long COVID患者を識別する機械学習モデルのトレーニングを行った。構築されたモデルは、検証対象とした約500万人のCOVID陽性患者の大規模データベース「National COVID Cohort Collaborative(N3C)」において、全患者でAUROC 0.92、入院患者でAUROC 0.90、非入院患者でAUROC 0.85、という高い精度でLong COVID患者を見分けることができた。
本AI研究ではLong COVID発症に重要となる因子として、急性期COVID-19発症直後の「呼吸器症状」「睡眠障害」「胸痛」「倦怠感」、また「糖尿病」「慢性腎臓病」「慢性肺疾患」といった慢性疾患の既往が挙げられている。さらに、ワクチン接種がLong COVID発症を防ぐ効果も示唆された。AIモデルによって大規模データベースからLong COVID患者を拾い上げることで、潜在的なLong COVID患者に対する追加調査や臨床試験への組み込みが可能となるため、病態のさらなる解明につながることが期待される。
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