米MDアンダーソンがんセンターの研究チームは、AIを利用し、患者の病歴から最適な治療の選択肢と日常管理上のアドバイスまでを提示するシステムを開発した。医師がこのシステムを利用して患者の病歴を入力することで、現在存在している無数の治療方法から有効な選択肢を探ることができるほか、患者の病態に応じて挑戦可能な臨床試験の有無についても知ることができる。
医学誌The Oncologist11月号に掲載された論文によると、同チームは、MDアンダーソンがんセンターを受診し、診断・治療が行われた1000名のがん患者データをアルゴリズムに学習させたほか、2300万におよぶ論文をデータベース化し、システムが参照する治療法群を構築したという。著者らは「AIシステムにより、患者がどこに住んでいるのか、誰なのかにかかわらず、最良な治療を受けられるようになる」と大きな期待を寄せている。
医療、特にがん治療領域の進歩は目覚ましく、まさに日進月歩で知識が更新されており、専門医であっても最新の知識を持ち続けるのは非常に難しい。米ジャクソン研究所で同様のシステム構築を目指すSusan Mockus博士は、「大切なのは、重要な情報を置き去りにしてしまわないことだ」と話し、知識更新に遅れのないAIならではの有効活用であることを指摘している。