急速に進む高齢化、慢性疾患有病者の増加、新しい病原体の出現など、「新薬による新しい治療法の必要性」がかつてないほどに高まっている。しかし、候補化合物を見つけ、新薬として市場に送り出すことは、多くの失敗と少ない成功に彩られた「長く困難で、途方もなく高額な費用のかかる旅」でもある。
米ハーバード大学医学部の生物医学情報学者であるMarinka Zitnik氏が率いるチームは、AI主導の創薬を最適化することを目的としたプラットフォームを立ち上げている。Therapeutics Data Commonsと呼ばれるこのオープンアクセスプラットフォームは、化合物の同定から臨床試験での薬効評価に至るまで、医薬品開発のあらゆる段階において、低分子医薬品、抗体、細胞・遺伝子治療など多数の治療法に関連するデータセットのキュレーション、およびアルゴリズム設計・性能評価などを提供する。
Zitnik氏自身がこのプラットフォームを構想し、現在はMITやスタンフォード大学、カーネギーメロン大学、ジョージア工科大学、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校、コーネル大学の研究者らと共同し、プロジェクトの推進に努めている。
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