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ヴァンダービルト大学 – Neumora Therapeuticsとの創薬パートナーシップを締結

米テネシー州ナッシュビルに本拠を置くヴァンダービルト大学はこのほど、脳領域を専門とするバイオテクノロジー企業であるNeumora Therapeuticsとのパートナーシップ締結を明らかにした。統合失調症治療に関し、ムスカリン(M4)受容体陽性アロステリックモジュレータ(PAM)を介した新薬創出に主眼を置く。

ヴァンダービルト大学が明らかにしたところによると、推進される共同研究は「データサイエンスと神経科学における医薬品開発能力を統合するもの」としており、現在進行中の前臨床試験を支援しつつ、本格的な医薬品開発に結びつける狙いがある。Neumora社の共同創業者であり会長兼CEOであるPaul L. Berns氏は、「ムスカリン受容体システムを標的とすることは、統合失調症治療において臨床的に十分検証されたアプローチであり、ヴァンダービルト大学ウォーレンセンターが発見したM4受容体陽性アロステリックモジュレータプログラムは、この疾患に対する膨大なアンメットニーズに対応するクラス最高の可能性を秘めている」と述べる。

近年、ムスカリン受容体上のアロステリック結合部位は、統合失調症やアルツハイマー病の創薬ターゲットとして大きな注目を受けている。ムスカリン受容体はGTP結合タンパク質に共役した代謝型受容体であり、M4はこのサブタイプの1つとなる。完全にサブタイプ特異的なリガンド開発は困難とされてきたが、AIおよびデータサイエンスアプローチによってこの限界を打破しようとする動きが加速している。

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TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。 The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。 1. 岡本 将輝 信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員教授など。専門はメディカルデータサイエンス。 2. 杉野 智啓 防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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