見落とされがちな心疾患を発見するAI研究

心臓病学におけるAIの利用は急速に進化し、診断の難しい疾患を効果的に特定するツール開発が続く。米シダーズ=シナイ・メディカル・センターの研究者らは、見逃されがちで生命を脅かす2つの心疾患、「肥大型心筋症」と「心アミロイドーシス」を識別するAIツールを発表している。

JAMA Cardiologyに掲載された同研究では、23,000人以上の患者データに基づき、心臓エコー検査に適用する2段階のアルゴリズムを構築した上で、肥大型心筋症と心アミロイドーシスの追加スクリーニングを受けるべきハイリスク患者を特定するツールを開発・検証した。2つの疾患は異なる疾患でありながら、心臓エコー検査ではよく似た所見を示すことがある。さらに診断を難しくするのは、疾病の最初期では、老化に伴う非疾患的な器質変化と類似することにもある。ツールの適用によって、心臓の壁の厚みや心室の大きさに関連するそれぞれの疾患の特徴を正確に捉えることが可能となった。

シダーズ=シナイのインタビューに対して、著者のDavid Ouyang氏は「心臓専門医でも正確な特定が難しい2つの心疾患は、正しい診断を受けるまでに数年から数十年かかることも多い。心アミロイドーシスは高齢の黒人男性などが罹患しやすい傾向があり、十分な医療を受けにくい地域性もみられる。ツールによる早期診断には医療の公平性を向上させる役割も期待できる」と語った。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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