心臓病学におけるAIの利用は急速に進化し、診断の難しい疾患を効果的に特定するツール開発が続く。米シダーズ=シナイ・メディカル・センターの研究者らは、見逃されがちで生命を脅かす2つの心疾患、「肥大型心筋症」と「心アミロイドーシス」を識別するAIツールを発表している。
JAMA Cardiologyに掲載された同研究では、23,000人以上の患者データに基づき、心臓エコー検査に適用する2段階のアルゴリズムを構築した上で、肥大型心筋症と心アミロイドーシスの追加スクリーニングを受けるべきハイリスク患者を特定するツールを開発・検証した。2つの疾患は異なる疾患でありながら、心臓エコー検査ではよく似た所見を示すことがある。さらに診断を難しくするのは、疾病の最初期では、老化に伴う非疾患的な器質変化と類似することにもある。ツールの適用によって、心臓の壁の厚みや心室の大きさに関連するそれぞれの疾患の特徴を正確に捉えることが可能となった。
シダーズ=シナイのインタビューに対して、著者のDavid Ouyang氏は「心臓専門医でも正確な特定が難しい2つの心疾患は、正しい診断を受けるまでに数年から数十年かかることも多い。心アミロイドーシスは高齢の黒人男性などが罹患しやすい傾向があり、十分な医療を受けにくい地域性もみられる。ツールによる早期診断には医療の公平性を向上させる役割も期待できる」と語った。
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