Cleerly社 – 心臓CTA解析AIの性能検証研究

心臓の冠動脈狭窄を検出する「心臓CTA(Computer Tomography Angiogram)」は、低侵襲かつ高精度な検査法として利用の幅を広げている。しかし検査法の普及とともに、読影医不足や、経験の浅い読影者による狭窄度の過大評価といった課題が浮き彫りになっている。米ニューヨーク拠点で心臓CTA解析AIを開発する「Cleerly社過去記事参照)」は従来検査法に対するAI利用手法の性能を比較検証し、最新の研究成果として発表している。

Journal of the American College of Cardiologyに掲載された同研究では、「CREDENCE試験(動脈硬化性疾患のCT評価に関する臨床試験)」における患者303名のデータに対し、Cleerly社のAIソフトウェアの性能評価を行っている。その結果、同社のAIによる冠動脈評価は、従来のスタンダードな検査である心臓エコー、カテーテルによる冠動脈造影、より侵襲的な冠血流予備量比(FFR: fractional flow reserve)検査、それらいずれの検査能力と「同等以上」であることが示された。

検査の有効性に加え、画像解析時間について本研究では1件あたり約10.3分と報告されている。研究グループは、従来手法に比べた検査結果の納期(ターンアラウンドタイム)の短さもAI活用技術の利点と考察している。Cleerly社は、従来のアプローチで見逃されていた患者の評価に重点を置き、患者が症状を示す前に冠動脈疾患を早期発見するパラダイムを作ることを目標に掲げている。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
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