新しい心臓画像診断「VNE」 – 造影剤不要の心筋評価へ

米バージニア大学の研究グループは、Virtual Native Enhancement(VNE)と呼ばれる新しい心臓画像診断技術を開発した。肥大型心筋症などの心筋モニタリングにおいて、MRIの遅延造影(Late Gadolinium Enhancement)はその有効性が確立されているが、コストとリスク、および検査時間の観点から造影剤不要の新手法が模索されていた。

Circulationから公表されたチームの研究論文によると、畳込みニューラルネットワークにおける複数のストリームを用いて、MRIのシネ画像とT1 mappingの各種信号を組み合わせたという。敵対的生成ネットワークによってトレーニングされたVNEジェネレータは、従来の造影心臓MRIと変わらない画像を出力することに成功している。研究を率いたChristopher Kramer医師はプレスリリースの中で、「心臓MRIにおいて造影剤の使用を避け、画質を向上させることは、患者と医師の双方にとって有益なことだ」と述べる。

研究内で主要な評価対象として扱われた肥大型心筋症は、若年アスリートに発生する心臓突然死の主因としても知られる。未検出の肥大型心筋症を減らすとともに、低コスト・低侵襲な心筋フォローアップ法としての貢献が期待される同技術は、他の心疾患への適用も想定した検証が複数予定されている。

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The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ(University College London)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員を経て、SBI大学院大学客員准教授、東京大学特任研究員など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。