医療とAIのニュース医療におけるAI活用事例最新医療AI研究「記憶を時系列で整理するための脳メカニズム」を発見

「記憶を時系列で整理するための脳メカニズム」を発見

カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究チームは、脳の海馬領域において「記憶を順序立てて整理するための基本的メカニズム」と、「これを利用して将来の行動を計画する方法」を初めて明らかにした。本知見は、アルツハイマー病をはじめとする認知症の疾病理解と改善への重要な一歩となる可能性がある。

Nature Communicationsからこのほど公開されたチームの研究論文によると、ラットにおける膨大な電気生理学的データと機械学習分析手法によって、海馬ネットワークが種々の意思決定を助けるため、「自身の経験(記憶)を符号化し保存」していることを示唆する証拠を発見したとする。具体的には、5種類の匂いを様々な順序で提示することにより、その時系列関係をどのように脳が捉えているか、脳内ニューロンの発火をモニターした。研究チームはさらに、「どの細胞が発火し、どの細胞が発火していないかという、細胞の符号化を連続的に把握することで、ある意味で『心を読む』ことができる」ことを指摘するとともに、神経パターンを画像として扱うことで、ニューラルネットワークによる効果的な解析を実現したとしている。

UCIの公表によると、神経生物学・行動学のNorbert Fortin准教授は「我々の脳は、特定の経験や出来事がいつ起こったかを記録している。この能力は日常生活に大いに役立っているが、この研究が行われるまで、こうしたプロセスの背景にある神経細胞メカニズムについて、明確な見解を持っていなかった」と語り、今後の研究発展に資する重要な知見であることを強調している。

関連記事:

  1. 睡眠が「古い記憶の忘却」を妨げる可能性
  2. 2年後の認知症診断を正確に予測するAI研究
  3. アルツハイマー病を予測するウェブアプリ
  4. 認知行動療法の自動評価を行うAIツール
  5. メンタルヘルスケアにAIを用いるスタートアップ5選

TOKYO analyticahttps://tokyoanalytica.com/
TOKYO analyticaはデータサイエンスと臨床医学に強力なバックグラウンドを有し、健康増進の追求を目的とした技術開発と科学的エビデンス構築を主導するソーシャルベンチャーです。
The Medical AI Timesにおける記事執筆は、循環器内科・心臓血管外科・救命救急科・小児科・泌尿器科などの現役医師およびライフサイエンス研究者らが中心となって行い、下記2名の医師が監修しています。

1. 岡本 将輝
信州大学医学部卒(MD)、東京大学大学院専門職学位課程修了(MPH)、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(PhD)、英University College London(UCL)科学修士課程最優等修了(MSc with distinction)。UCL visiting researcher、日本学術振興会特別研究員、東京大学特任研究員を経て、現在は米ハーバード大学医学部講師、マサチューセッツ総合病院研究員、SBI大学院大学客員准教授など。専門はメディカルデータサイエンス。

2. 杉野 智啓
防衛医科大学校卒(MD)。大学病院、米メリーランド州対テロ救助部隊を経て、現在は都内市中病院に勤務。専門は泌尿器科学、がん治療、バイオテロ傷病者の診断・治療、緩和ケアおよび訪問診療。泌尿器科専門医、日本体育協会認定スポーツドクター。
RELATED ARTICLES

最新記事

注目の記事