医療におけるAI活用事例は急速に増え、各国の規制当局による承認数も一貫して増加傾向にある。一方、実臨床における採用は鈍い伸びで、この背景にはAIに対する信頼の欠如やプライバシーへの懸念、新規性の価値が認識されていなこと、などが主因として挙げられている。米ジョージア工科大学の研究チームは、レトリック(弁論術の一型で、情報発信者が受信者を説得するための手法)に基づく「AI製品採用における阻害要因の克服」を検証している。
Journal of Medical Internet Researchから13日公開された研究論文によるとチームは、コミュニケーション戦略(エトス、パトス、ロゴス)の活用により、医療におけるAI製品導入が促進するかを実験的に検証した。具体的にはAmazon Mechanical Turkを用いて150人の研究参加者を確保し、研究中、参加者を特定のレトリックに基づく広告にランダムで曝露させた。結果、パトス(情熱的な説得)を含んだプロモーションは、ユーザーの信頼(n=52; β=.532; P<.001)と製品の新規的価値の認識(n=52; β=.517; P=.001)を促し、AI製品の採用を強く改善していた。同様に、エトス(信頼感を得る説得)を含んだプロモーション、およびロゴス(論理的な説得)を含むプロモーションも、統計学的有意にAI製品採用を改善していた。
著者らは「レトリックに基づく広告利用によるAI製品のプロモーションは、ケアプロセスにおいてAIを使用すること対するユーザーの懸念を和らげることで、その阻害要因を克服し得る」と結論付けており、広範な医療AI導入促進についても、理論的に確立された広告およびコミュニケーション戦略が機能する事実を明らかにしている。
参照論文:
Persuading Patients Using Rhetoric to Improve Artificial Intelligence Adoption: Experimental Study
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