ChatGPTに代表される大規模言語モデルは、診療レポート作成の省力化や、医学系の試験問題に高い正答率を示すなど、医療とAIとの関係性を変革しつつある。米シダーズ=サイナイの研究チームは「ChatGPTの回答性能が肝硬変・肝細胞がん患者のヘルスリテラシーを高める可能性」について研究している。
Clinical and Molecular Hepatologyに発表された同研究では、ChatGPTに対して肝硬変・肝細胞がんに関する5つのカテゴリー(基礎知識・診断・治療・生活習慣・予防医学)について164の典型的な質問を提示し、その回答内容を2人の肝移植専門医が採点した。その結果、ChatGPTは質問の約77%(肝硬変79.1%・肝細胞がん74.0%)に正解し、91の質問に高精度な回答を示していた。特に基礎知識・治療・生活習慣のカテゴリーについては、回答の75%以上が「Comprehensive(包括的)」「Correct but inadequate(正しいが不十分)」と評価され、ChatGPTが比較的得意とする回答領域が明らかにされている。
一方で、ChatGPTは肝細胞がんのスクリーニング基準や、地域ごとのガイドラインの差異のように、質問者の居住地域に応じたテーラーメイド型のアドバイスでは苦戦する傾向にあると、その限界についても考察されている。研究チームでは、肝硬変・肝細胞がん患者の満たされないニーズに対して、ChatGPTが共感的で実用的なアドバイスを提供するような将来性に期待している。
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