パーキンソン病(PD: Parkinson’s Disease)は、振戦や動作緩慢、姿勢保持障害などの運動障害が主な症状となる神経変性疾患である。より効果的な治療管理を目指し、これらの運動障害を日常生活の中でモニタリングするウェアラブルデバイスが臨床で利用され始めている。英国のPD Neurotechnology社(過去記事参照)はPD患者向けの腕時計型デバイスシステム「PDMonitor」を開発しており、この製品がPD患者モニタリングにおいて「専門家と同等の評価能力を示した」とする新たな研究成果を報告した。
Frontiers in Neurologyに掲載された同研究では、PDMonitorの性能および装着性を評価する2相の臨床試験が行われ、65名のPD患者が参加した。第一相の試験はクリニックで2〜6時間デバイスを使用し、神経内科医による30分毎の専門指標評価(UPDRSおよびAIMS)と比較された。第二相試験ではPD患者と対照健常者について、監視なしの自由な日常生活内でのデバイス性能が評価された。解析の結果、PDの症状における検出精度と重症度評価で、専門家による評価との高い相関が確認できたという。
PDは世界で2番目に患者数の多い神経変性疾患であり、莫大な社会的・医療的コストを生じさせている。PD運動障害の高精度なモニタリングは、より効果的な治療介入に貢献できるとともに、社会に対する疾病負荷の軽減に資する可能性がある。患者と介護者が容易に利用できるPDMonitorのようなモニタリングデバイスは、患者管理の新たな可能性を開くと、研究チームは結論付けている。
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