感染症は世界的な難題で、研究者たちは何十年にも渡り、疾病の蔓延を有効に制御するための学際的アプローチを探究してきた。AIは感染症研究のツールとしては比較的新しいものだが、その存在感は短期間で急速に強まり、喫緊の課題解決を加速させている。米ペンシルベニア大学とマサチューセッツ工科大学の研究者らは、「AIが感染症研究にどのような変化をもたらしたか」についてまとめたレビュー論文を公開した。
Scienceに掲載された総説では、AIによる感染症研究の進歩・限界・将来性について、創薬、感染生物学、診断、という3つの主要分野を論じている。
1.創薬
先進的な機械学習技術によって、AIは大規模なデータセットを解析し、人間が見落とすようなパターンを特定することが可能になっている。このアプローチにより、有望な化合物と薬剤のスクリーニングと選択が高速化し、効果的な治療薬の開発が大いに促進されている。
2.感染生物学
AIは感染生物と宿主免疫システムとの間の複雑な関係を解析し、疾患メカニズム、感染の動向、宿主と病原体の相互作用に関する重要な洞察を提供する。これにより、ターゲットを絞った介入策や予防戦略の開発に貴重な情報を提供している。
3.診断
AIは医療用画像、ゲノムデータ、臨床記録を分析することで、より早期に正確な診断を行うことを可能にし、感染症の蔓延を抑えるためのタイムリーな治療介入を促進している。
研究者らは、解釈可能で説明可能、生成的な機械学習アプローチがさらに進化することを期待しており、これが次世代の治療薬・ワクチン・診断法の設計に寄与すると信じている。
参照論文:
Leveraging artificial intelligence in the fight against infectious diseases
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