脳組織の萎縮など加齢による変化は、脳血管周囲腔の拡大(ePVSs: enlarged Perivascular Spaces)を引き起こし、MRIなどの画像検査ではこれらが散在している様子を捉えられる。ePVSsの増加は脳卒中や認知症との関連が示唆されてきた。一方で、放射線科医が手作業によって、1つ1つを日常的に評価することは現実的ではない。米テキサス大学の研究チームは「MRI上のePVSsを特定し、定量化するAIツールの有用性」を調査している。
JAMA Network Openに掲載された同研究では、ディープラーニングアルゴリズムを用いて自動化されたePVSsの定量を行い、その臨床的な価値を評価した。その結果、大脳基底核と視床におけるePVSsの増加が、脳小血管障害の代替バイオマーカーとなり得ることを明らかにした。
研究を主導したMohamad Habes博士は、「脳の病変をAIなしで定量することは極めて困難だった。しかし、革新的なディープラーニングツールの開発により、ePVSsを正確にカウントし、小血管の障害分布を示すことが可能となった。これは脳血管疾患と認知症の研究における大きなブレークスルーで、全米のアルツハイマー病研究センターでの大規模研究に役立つと考えている」と述べた。
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